マイホームを手に入れた後は、住宅ローンを返済していかなければなりません。
そこで注目されるのが、繰り上げ返済です。早く完済を目指す、無駄な利息を払わないというイメージがありますが、繰り上げ返済には、たくさんのメリットがありますのでご紹介します。
繰り上げ返済の方法

繰り上げ返済といっても、その方法は2種類あります。
ひとつは返済期間を短くする期間短縮型、もうひとつは、返済期間はそのままで、返済額を減らす返済額軽減型です。繰り上げ返済による、利息の節約効果が大きいのは、返済期間を短縮する期間短縮型です。
期間短縮型
現状で、住宅ローンの返済額が、とくに家計を圧迫している状況ではない場合には、老後の生活を考えて、早期完済を目指すほうが得策なので、この場合は、期間短縮型を選択するのがおススメです。
返済額軽減型
子供の教育費等で、一時的に家計が苦しくなることが予想されるような場合は、繰り上げ返済により、月々の返済額を減らす、返済額軽減型を選択したほうがよいです。
教育費のピークがすぎたら、再び繰り上げ返済を行い、次は期間短縮型を選択するなど、家計の状況に応じて使い分けましょう。
繰り上げ返済の効果

住宅ローンの一般的な返済方法は、元利均等返済です。当初は、返済額のほとんどが利息部分になるので、元金はあまり減りません。
そこで、繰り上げ返済により、直接元金を減らすことで、余分な利息を大幅にカットできるのが繰り上げ返済の大きなメリットですが、繰り上げ返済には、他にも効果があります。
繰り上げ返済による3つの効果
- 余分な利息の支払いを減らすことができる
- 早期完済でライフプランにゆとりを与える
- 金利上昇リスクを回避できる
晩婚化による子供の教育費がピークになる時期の遅れや、早期退職制度、公的年金の給付年齢引上げなど、世帯主が晩年を迎えたときの家計状況は、安心できるものではありません。
そこで、住宅ローンを、世帯主が現役として収入を得ている間に完済してしまうことは、とても大きな意味があります。
この効果は、住宅ローンの利息が大きい時期(借り入れて間もない時期)ほど大きくなります。
繰り上げ返済をすることで、どの程度の利息を減らすことができるのか、どのくらい返済期間を短縮することができるのかは、銀行から送られてくる償還表を使って調べることができます。
また、2年、3年の短期固定金利型住宅ローンの金利は、低く設定されています。
このような商品の最大のリスクは、固定期間が満了した時点で、そのときにある住宅ローン商品の中から、次の商品を選択しなければなりません。
今まで1%台の超低金利で返済していた人が、急に2%や3%の住宅ローンに、乗り換えざるを得ない状況もあります。この短期固定金利型住宅ローンのもつリスクを回避する有効手段として、繰り上げ返済を活用することができます。
もし、更新後の金利がそれほど上昇しない場合、繰り上げ返済によって、返済期間を短縮することもできますし、金利上昇が大きく家計に影響を与えるようであれば、返済額軽減型の繰り上げ返済で、家計を維持することもできます。
繰り上げ返済の方法は、効果を十分に検討してから、どんな方法で繰り上げ返済をするのがいいのか、上手に選択しましょう。
一気に繰り上げorこまめに繰り上げ

繰り上げ返済をする場合、ある程度のお金が貯まってから行うのがいいのか、こまめに繰り上げ返済したほうがいいのか、どちらがいいのでしょうか。
基本的には、100万円程度のお金が貯まってから繰り上げ返済をするのが、効果が大きいようです。
繰り上げ返済は、早い時期に行うほうが、効果が大きいという特徴があります。ただし、繰り上げ返済を行う際には、事務手数料がかかります。
特に、固定金利型住宅ローンの場合、固定期間内に繰り上げ返済を行うと、銀行によっては、数万円の手数料がかかることがあります。せっかく支払利息を節約できても、手数料で数万円もかかってしまっては意味がありません。
固定期間満了時に繰り上げ返済を行うなど、タイミングを見ながら、効率よく繰り上げ返済をしましょう。
返済条件の変更をする

繰り上げ返済には、返済額を増やして早期完済を目指すという方法もあります。マイホーム購入時には、月々の返済額や返済期間に余裕を持たせるために、金利の低いものや長期の返済期間にすると思います。
しかし、実際に返済を続けてみると、意外と家計に余裕があったり、夫婦の就労状況の変化などで、予定していたより多くのお金を住宅ローンにまわすことができる場合もあります。
その場合、月々の返済額をアップすることで、返済期間を短縮するという方法もあります。
繰り上げ返済の場合は、ある程度まとまったお金を返済しますが、この方法は、毎月の返済額が繰り上げ資金の役割を果たしてくれるので、便利です。
たとえば、ある一定期間は家計にゆとりがあるので、その間だけ返済額を増やしたり、子供の教育費が一段落してから返済額をあげることもできます。
住宅ローンの中には、増額した分すべてが元金に充当されるものもありますので、条件変更すると、大きな効果が期待できます。
繰り上げ返済に夢中になりすぎない

繰り上げ返済の効果は理解していただけたかと思いますが、あくまでも繰り上げ返済は、家計の中から生まれた余裕資金で行います。
住宅ローンでは、どんなに低い金利で借りていたとしても、金額が大きいので、利息も大きくなります。繰り上げ返済をして、利息を減らしたいとは思いますが、それによって預貯金が底をつくのは危険です。
いつ、何が起こるかわかりませんので、できれば生活費の3~6カ月程度の預貯金は常に置いておきましょう。利息を節約するための繰り上げ返済が仇となり、高利な借金で余計な金利を負担して、家計を圧迫してしまっては本末転倒です。
繰り上げ返済は、家計の中の余裕資金で行うようにしましょう。


