沖縄でしか見られない天然記念物の動物たちをご紹介

天然記念物とは、動物、植物、地質鉱物、天然保護区域などで、学術上の価値が高いものを言い、文化財保護法という法律に基づいて指定されています。

天然記念物の中でも、世界的または国家的に重要なものが特別天然記念物に指定されています。「特別」をつけることを二段階指定制度と言い、保護・保存がより徹底されています。

その中でも、沖縄でしか見ることができない天然記念物の動物たちをご紹介します。

特別天然記念物

特別天然記念物に指定されている動物で、沖縄県で見られるのはノグチゲラ・イリオモテヤマネコ・カンムリワシの3種類です。

ノグチゲラ

生息地域:沖縄本島北部(国頭村、東村、大宜味村)

ノグチゲラは、一属一種の珍しい鳥で、沖縄本島北部のみに生息しているキツツキです。全長は30㎝ほどで、オスは頭頂部が鮮やかな赤色ですが、メスは黒っぽい色をしています。

ノグチゲラが発見されたのは1887年と比較的最近のことです。この発見に関わったのが野口さんという方なので、ノグチゲラという名前がつけられました。

現在の生息数は320羽くらいといわれ、将来絶滅してしまう恐れがあります。繁殖期は4月~6月頃で、森の中から「ダダダダダダ」と木をつつく音が聞こえてきます。

ノグチゲラの生息地である東村では、ノグチゲラ保護条例が制定されていて、保護地域への無断立ち入りや騒音に対して罰則があります。

ノグチゲラは警戒心が強いので、生息地にはむやみに立ち入らないようにしましょう。

イリオモテヤマネコ

イリオモテヤマネコ

生息地域:西表島

イリオモテヤマネコは、西表島だけに住んでいる原始的な猫で、生きた化石とも呼ばれています。

一般的なイエネコとは異なり、耳は丸みを帯びていて、目の周りには白い縁取りがあります。イエネコよりもひとまわり大きく、胴長短足で太いしっぽが特徴です。

現在、把握されている個体数は100頭前後です。イリオモテヤマネコは泳ぎも得意で、鳥類、爬虫類、甲殻類など何でも食べます。

イリオモテヤマネコの死亡原因で、1番多いのが交通事故です。西表島の幹線道路は長い1本道で、信号も2つあるだけです(子供たちの教育のための信号なので、実際には無くても困らない信号です)。

そのため、ついスピードを出してしまいがちですが、島内にはたくさんの動物がいます。

道路の下には動物専用のトンネルがありますが、動物たちがそこを通ってくれるとは限りません。西表島で車を運転する際には、いつも以上に安全運転を心がけて下さい。

ちなみに、西表島には、動物飛び出し注意の看板が至る所にありますが、子どもの飛び出し注意の看板はほとんどありません。

カンムリワシ

カンムリワシ

生息地域:石垣島、西表島、与那国島

カンムリワシは、タカ目タカ科カンムリワシ属に分類される鳥です。全長は55㎝程度で、羽を広げると110㎝程度、体重は800gほどで、日本国内では八重山諸島のみに生息しています。

生まれたときは白色ですが、成鳥になると全体的に茶褐色で、お腹に白い斑点模様がついてきます。

翼の模様は、日本に生息するワシやタカの中で最も美しいと言われ、綾のように美しい羽という意味で、綾羽(アヤバニ)と呼ばれています。

頭には、カンムリのような羽(冠羽)があり、威嚇すると逆立てた姿がカンムリのように見えるので、カンムリワシと名づけられました。

普段は森の中に生息し、蛇やトカゲ、カニなどを食べていますが、車に引かれたカエルなどを道路上で食べていて、交通事故に合うケースも増加しています。

生息数は、石垣島と西表島で各100羽程度と言われています。繁殖期は4月~7月で、1回の産卵で1つの卵を産みますが、産卵数が少ないこともあり、個体数は年々減少しています。

また、カンムリワシは、狙った獲物は絶対にはずさないことから、ボクシング世界チャンピオンの具志堅用高さんのトレードマークとしても有名になりました。

国の天然記念物

沖縄県で見られる国指定の天然記念物は、アカヒゲ、リュウキュウキンバト、オカヤドカリなど多数いますが、その中でも代表的な3種をご紹介します。

セマルハコガメ

セマルハコガメ

生息地域:石垣島、西表島

セマルハコガメは、主に湿地や沼、川などの周辺でよく見られるリクガメです。

甲羅がドーム状に盛り上がり、甲羅の長さは17㎝程度、お腹の甲羅はふたつに分かれ、ちょうつがいのように可動します。敵に襲われると、手足を引っ込めてお腹側の甲羅を閉じるため、箱ガメと名づけられました。

通常は陸上で生活しているので、水の中に入ることはありません。泳ぐことはできますが、上手くないので、溺れて死んでしまうこともあります。

雑食性で、木の実や果実、昆虫やミミズ、カタツムリなどを食べます。天然記念物として保護されていますが、森林破壊や飼育目的で捕獲されていることから、生息数の減少が懸念されています。

※国産のセマルハコガメは特別天然記念物に指定されているので、採取・飼育は禁止されています。

ヤンバルクイナ

ヤンバルクイナ

生息地域:沖縄本島北部(国頭村、東村、大宜味村)

ヤンバルクイナは、沖縄本島北部の山原(やんばる)地域に生息しています。全長35㎝前後、体重300~400gの小型の鳥です。

太くて赤いくちばしは頭部よりも長く、胸には黒と白の縞模様があります。目、くちばし、足は赤く、全体的には暗いオリーブ色をしています。

昼間は地上を歩き回り、昆虫やミミズなどを食べ、夜になると木に登って休みます。群れは作らずに単独またはつがいで行動しています。

体に比べて翼が小さいので、飛ぶことが下手です。沖縄には肉食動物が存在していなかったので、飛ぶ必要がなくなり、地面で生活するように進化したともいわれています。

しかし、このことが原因で、現在は絶滅の危機に瀕しています。

飛ばないため、野生化した猫や犬、マングースなどに襲われやすいのですが、最近の天敵は車とも言われています。観光客の増加や道路の開通などによって、交通事故による死亡が増えています。

4月~8月は繁殖期で、ヤンバルクイナが活発に動き回りますので、車の運転には十分に注意して下さい。

ちなみに、ヤンバルクイナは発見当初、幻の飛べない鳥として有名になったので、沖縄の県鳥と思われている方も多いのですが、沖縄県の県鳥は、ノグチゲラです。

ケラマジカ

ケラマジカ

生息地域:慶良間島、阿嘉島、屋嘉比島、外地島(無人島)

ケラマジカは、日本最南端に住む野生のシカです。日本国内に生息する二ホンジカの中で最も小柄で、オスの成獣で30㎏程度です。毛色は本土のシカよりも暗く、メスや子ジカの背中には黒い筋があります。

島固有種ではなく、360年ほど前に薩摩から連れてきたシカを久場島に放したそうですが、現在は久場島にはシカはいません。

また、ケラマジカは繁殖期になると、海を泳いで慶良間諸島の島々を移動します。約300mの距離を15分ほどで泳ぐそうですが、早いのか遅いのかはわかりません。

阿嘉島、慶留間島、外地島の3島は橋でつながっていますので、橋を渡って行き来しているシカも見られます。

全島合わせて200頭前後が生息していて、他の天然記念物と比較しても遭遇率は高いです。

まとめ

沖縄に生息している「特別天然記念物」と「天然記念物」についてご紹介しました。

最近では、動物たちの最大の天敵は人間だと言われています。見かけても、騒いだりしないで、優しく見守ってあげて下さい。

そして、動物たちのためにも、沖縄でのドライブは、いつも以上に安全運転を心掛けましょう。

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