個人向け債権の特徴と債券投資のリスクについて

個人向け債権の特徴と債券投資のリスクについて

債権は、主に機関投資家が保有していますが、個人でも債権を購入することができます。

債権の購入層を広げるために、国債では個人向け国債や個人向けに新型窓口販売方式による国債の販売が行われ、個人向け地方債(ミニ公募地方債)も発行されています。

個人向け国債

個人向け国債には、四半期ごとに発行される変動金利タイプの10年債と、固定金利タイプの5年債、固定金利タイプの3年債の3種類があります。

変動金利タイプの10年債は、利率が半年ごとに実勢金利に応じて支払われますが、5年債と3年債は償還までの利率が固定されています。

変動10年債の各利払期における適用利率(年率)は、基準金利に0.66%を掛けた値で、固定5年債は基準金利から0.05%を差し引いた値、固定3年債は基準金利から0.03%を差し引いた値となっていて、それぞれ最低保証利率の0.05%が設定されているので、これ以下になることはありません。

この3種類は、すべて発行から1年が経過すれば、途中換金が可能です。一定期間の利子相当額が差し引かれますが、元本で政府が買い取ってくれますので、価格変動リスクと流動性リスクがありません。

ただし、1年間は途中換金ができず、通常の国債に比較して、金利が低く抑えられています。

個人向け地方債

個人向けの地方債としては、住民参加型市場公募地方債(ミニ公募地方債)と呼ばれる債権があります。

公募地方債は、総務省から毎年初めに公表される地方公共団体しか発行することができませんが、ミニ公募地方債は、すべての地方公共団体で発行することが可能です。

さらに、ミニ公募地方債は、発行のための対象事業を明確にしていることも特徴の1つです。

また、ミニ公募地方債は、3年債や5年債など、期間が比較的短く、額面金額が少額など、住民が買いやすいこともあります。

国債よりも利率が有利なものが多く、募集開始日に完売するなど、人気のものも多くあります。

個人向け社債

個人向け社債は、一般企業の資金調達手段となっている社債の販売先を個人に限定したものです。

SB(ストレートボンド)と呼ばれる普通社債は、満期が設定され、決められた利率(固定利付)が満期まで変わりません。これに対して、個人向け劣後債や個人向けとの仕組み債と呼ばれるものがあります。

企業が発行する個人向けの普通社債は、発行の単位が小口化され、個人でも購入しやすくなっていますし、大手銀行なども、個人向け社債を発行しています。

社債を発行する会社の信用度に応じて利率は高くなります。

発行企業にとっても、リーマン・ショックなどにより、リスク回避の動きを強めざるを得ない機関投資家に代わり、幅広い個人投資家から資金を集められるというメリットがあります。

個人向け外債

個人向けの外貨建て債権は、ブラジル、トルコ、オーストラリアなど、たくさんの種類が発行されています。

債権を購入する際には、その発行体の格付けをチェックすることが大切ですが、個人向け外債に関しては、国際機関などが発行体となり、比較的格付けは高くなっています。

利率についても、各国の金利が適用されることで、日本の金利に比べて高いものになります。

個人向け外債の最大のリスクは、為替リスクです。為替の知識なしに外債を買うのは危険です。

高利率に惑わされず、円安・円高などを理解し、その通貨の動向をチェックできないのであれば、外債の購入はやめましょう。

個人向け仕組み債

個人向け仕組み債は、一般の社債に比べ、高格付け、高利回りであることが多く、とても魅力的に見えますが、条件付きで利子が高めに設定されているものです。

その条件をしっかりと確認することが重要で、利率の高さも、そのリスクに見合ったものであるかを確認しましょう。

リスクを完全に理解するには、オプションなどの理解やリスクに見合った条件設定なのかも見分ける必要があり、プロでも難しいので、個人向け仕組み債はあまりオススメできません。

債券投資のリスク

債権を購入する際には、利率が高いというだけで判断しないで、リスクについても確認し、格付けなども参考にして、格付けが低いものは、できるだけ期間の短いものを購入しましょう。

そして、原則として、償還まで持ちきれることを前提とします。

満期まで保有していれば元本が返ってくるため、比較的安全性の高い金融資産ですが、投資にはリスクが存在します。

債権にも価格変動リスク、流動性リスク、信用リスクなどのリスクがありますので、投資を始める前にはリスクについても理解しておきましょう。

価格変動リスク

投資リスクの中で、一番気になるものが価格変動リスクです。金融商品に限らず、私たちの身の回りには、食品やガソリンなど、価格が変動するのもがたくさんあります。

これは、原材料価格が日々変動しているからです。

価格の変化をあまり実感できないものは、価格を頻繁に変えることができないため、価格変動リスクをメーカーや販売店が負っているからなのです。

株式市場で日々売買される、値動きの激しい株や債券、為替などの金融商品については、その価格変動リスクは、購入者自身が負うことになります。

投資商品は、マーケットで売買されているので、価格の推移を確認することで、リスクとリターンの関係をある程度知ることができます。

まずは、投資する商品についての知識を得て、その商品のリスクを確認したうえで投資をはじめましょう。

債権の価格変動リスク

債権の買付時より長期金利が低下していれば、値上がり益を見込める可能性もありますが、長期金利が上昇している場合には、受取金額が買い付け価格を割り込む可能性があります。

債権の価格変動リスクに関しては、残存期間の長い国債ほど、同じ利回り幅に対して価格が大きく変動する点にも注意が必要です。

信用リスク

取引を約定した後で、決済が予定通りに行われないことから生ずるリスクを決済リスクと言います。決済リスクには、取引の相手方にかかる信用リスクと流動性リスクの2つがあります。

信用リスクとは、どこかに貸したお金が約束通りに返ってこない(貸し倒れ)場合や、購入した債権の利息や償還金を、あらかじめ決められた条件で支払われなくなる(デフォルト:債務不履行)リスクのことをいいます。

信用リスクは、デフォルトリスクとも言われ、国の信用リスクのことをカントリーリスクと言います。

また、信用リスクは、市場においてリスク・フリー金利に上乗せされるプレミアムというかたちで表されます。これは、約束通りの支払いに対する、ひとつの信頼感の証とも言えます。

そして、実際に企業が倒産したり、国の財政が破綻してしまうケースだけでなく、倒産する可能性が高くなることで、債権の価格が下落することなども、信用リスクに含まれます。

信用リスクを見るためには、格付け」が使われます。格付けとは、債権などの元本や利息が、約定通りに支払われるかどうかの確実性を、格付け会社が評価して、段階的に表示したものです。

格付けが高いと、その債権の安全性が高いことが認められるということなので、高いプレミアムをつけなくても、債権を発行することができます。

流動性リスク

流動性リスクは、取引の相手方に経営不安観測が流れたり、決済システムが故障するなど、特殊事情によって決済が滞るリスクです。

また、金融商品の流動性リスクは、いつでも買うことができ、いつでも売ることができるかどうかもリスクになります。売却したいときに、すぐに換金できなければ、その金融商品は敬遠される恐れがあります。

国債のように、流動性に優れている債権であれば、適正な水準で、必要な金額を売買することが可能です。

しかし、発行額の少ない債権などは、希望する価格で売れなかったり、買い手が見つからないこともあります。

国債でも、発行額が比較的少なく、買い手が偏在していた15年変動利付国債や物価連動債では、買い手が見つからないなど、流動性リスクが生じたことがありました。

また、なんらかの事情によって決済が滞ってしまうリスクの典型例がリーマン・ショックです。

リーマン・ショック

2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで、既往契約に基づく決済を停止する」旨を発表したことで、約定済みの国債取引が一切履行されないという非常事態が起こりました。

この結果、リーマン・ブラザーズが国債取引について引き起こしたデフォルトの規模は、2008年9月の予定分だけでも約7兆円となる、史上最大級の規模で倒産したことを契機として発生した、世界的な金融・経済危機です。

国債のリスク

国債の信用を維持するために必要な政策の一つが、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡、さらにその黒字化に向けての政府の姿勢です。

プライマリーバランスとは、国債費関連を除いた基礎的財政収支のことで、国債の利払いと償還費を除いた歳出と、国債発行収支を除いた歳入についての財政収支です。

プライマリーバランスがプラスの場合には、プライマリーバランスの黒字と表します。

プライマリーバランスが均衡すれば、毎年度の税収などによって、過去の借り入れに対する元利払いを除いた毎年度の歳出を賄うことになります。

しかし、現在のように、一般歳出が税収よりも大きくなると、税収に加えて国債の発行による収入を充てることになるため、プライマリーバランスが赤字の状態が続きます。

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