暗号資産(仮想通貨)には、現物取引とFX取引があります。FX取引には、暗号資産(仮想通貨)と外国為替があります。それぞれの特徴、税金の違いなどについてご紹介します。
暗号資産(仮想通貨)FXに興味のある方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
暗号資産(仮想通貨)FXとは

FXとは、Foreign Exchangeの略で、外国為替証拠金取引という意味です。
暗号資産(仮想通貨)FXは、実際に暗号資産(仮想通貨)を売買するのではなく、将来の値動きに対して買い注文・売り注文を保有して、その注文を決済することによって、値動きの差益/差損を受け取ることができる証拠金取引のことです。
大きな特徴としては、レバレッジ取引ができることです。レバレッジをかけることにより、保有する資金以上の取引が可能となるので、現物取引に比べて、短期間で資金を増やすことができますが、その分リスクも高くなります。
現物取引との違い

現物取引は、その時の相場価格で、暗号資産(仮想通貨)を売買します。暗号資産(仮想通貨)FXは、証拠金取引のため、実際に暗号資産(仮想通貨)の現物を保有しないで、売買時の差金で決済をします。
また、証拠金を預けることにより、レバレッジをかけ、実際に保有する資金以上の取引ができることも、現物取引との違いです。なお、現物取引では、証拠金を預ける必要はありません。
他にも、現物取引は、基本的に買い注文から始めなければならないので、暗号資産(仮想通貨)の価格が上がる相場でしか利益を得ることができませんが、暗号資産(仮想通貨)FXは、売り注文から始めることが可能なので、価格が下がる相場でも利益を得ることができます。
暗号資産(仮想通貨)FXでは、実際に暗号資産(仮想通貨)を保有するわけではないので、購入した通貨を使ったり、送金することはできません。
一般的なFX(外国為替FX)との違い

暗号資産(仮想通貨)FXと、一般的な為替FXとの違いは投資対象です。
暗号資産(仮想通貨)FXは、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)を対象としたFX取引で、取引するためには、暗号資産(仮想通貨)取引所で口座を開設します。
メンテナンスなどの時間帯を除き、24時間365日取引することができるので、いつでも誰でも簡単に始められます。
一方、為替FXは、円やドル、ユーロなどの法定通貨が投資対象で、証券会社などで口座を開設することによって取引をすることができます。
取引時間は、為替市場が休みになる土日を除く平日の24時間(概ね月曜日の朝7時~土曜日の朝6時55分/米国サマータイム時は5時55分)です。
暗号資産(仮想通貨)FXのメリット

- レバレッジ取引が可能
- 価格の下落相場からでも始められる
- 24時間いつでも取引できる
レバレッジ取引が可能
暗号資産(仮想通貨)FXの最大のメリットは、レバレッジ取引をすることによって、自己資金以上の取引ができることです。
レバレッジは「てこの原理」という意味で、小さな力で大きなものを動かすことができる仕組みを言います。たとえば、レバレッジ10倍の場合、取引所に10万円の自己資金を預け入れると、100万円の取引をすることができます。
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所では、改正金融商品取引法により、暗号資産(仮想通貨)のレバレッジ倍率は、最大2倍までに変更されました。
海外の暗号資産(仮想通貨)取引所「バイナンス(BAINANCE)」では、最大125倍のレバレッジ取引が可能です。
また、バイナンス(BAINANCE)には、ゼロカットシステムがあるので、証拠金を超えた損失があっても借金になることはありません。
レバレッジ取引は、少額の資金でも大きな取引をすることができますが、ハイリスクハイリターンです。レバレッジの倍率は、よく考えて設定して下さい。
売り注文から始められる
現物取引は、暗号資産(仮想通貨)を保有していなければ売ることができませんが、暗号資産(仮想通貨)FXは、売り注文から始めることができます。
「しばらく値下がりが続きそう」と思った場合でも、「高く売って安く買う」ことで利益を得られますので、取引するチャンスが増えます。
売ったら買い戻さなければならないので、売り注文と買い注文は必ずセットで行われます。
24時間いつでも取引できる
暗号資産(仮想通貨)FXは、取引所のメンテナンス時間を除いて、24時間365日取引することができます。
土日祝日のみ、深夜早朝のみなど、ライフスタイルに合わせて取引できるのも、暗号資産(仮想通貨)がトレーダーに人気の理由です。
暗号資産(仮想通貨)FXのデメリット

- リスクが大きい
- 追証・ロスカットシステム
- 長期保有に向いていない
リスクが大きい
暗号資産(仮想通貨)FXのメリットとして、少ない資金で大きな取引をすることが可能になります。
レバレッジをかけた分だけ利益を得られますが、相場が反対方向に動けば、損失も大きくなります。自己資金以上の損失が発生すると、マイナス(借金)になることもあります。
追証(おいしょう)・ロスカットシステム
暗号資産(仮想通貨)FXには、追証(おいしょう)とロスカットというシステムがあります。追証とは、追加保証金のことで、含み損が多くなると、追加の証拠金が必要となります。
追証をしないで含み損が増え続けると、ロスカット(強制決済)されます。ロスカットは、取引所に預け入れた資金以上の損失を防ぐ、トレーダーを守るためのシステムですが、予期せぬタイミングで損失が確定してしまうこともあります。
追証とロスカットの基準は、取引所によって異なりますが、相場が急変動した場合には、ロスカットされても証拠金の額を上回る損失が発生することもあります。
また、取引所によっては、ロスカット手数料が発生する場合もあります。
長期保有には向いていない
暗号資産(仮想通貨)FXでは、通貨を保有している間、スワップポイント(建玉)という手数料が発生します。
スワップポイントは、ポジション(通貨)を保有している間は毎日発生するので、長期間だと手数料がかなり高くなることもあります。
なお、1日で売買取引が完了するとスワップポイントはかかりません。スワップポイントは、取引所や保有している通貨の量などによっても異なります。
暗号資産(仮想通貨)FXの税金

外国為替FXの税率は、一律20.315%ですが、暗号資産(仮想通貨)FXは、通常の暗号資産(仮想通貨)取引と同様、住民税を含めると最大55%の税率になります。
暗号資産(仮想通貨)は、利益が少なければ、税率が低いのですが、利益が大きくなればなるほど、税率が高くなってしまいます。
| 暗号資産(仮想通貨)FX | 外国為替FX | |
| 所得分類 | 雑所得 | 先物取引に係る雑所得 |
| 課税体系 | 総合課税 | 分離課税 |
| 税率 | 5~45%(住民税含み最大55%) | 一律20.315% |
| 損益通算 | できない | 先物取引に係る雑所得と可能 |
| 損失繰越 | できない | 3年間可能 |
租税特別措置法では、申告分離課税(先物取引に係る雑所得等の課税特例)の対象は、金融商品取引法などに基づいて行われる①商品先物取引等、②金融商品先物取引等、③カバーワラントの取得とされています
外国為替FXは、②金融商品先物取引等に該当するので、申告分離課税の対象となりますが、暗号資産(仮想通貨)取引(FX含む)は、いずれにも該当せず、総合課税によって申告・納税することになります。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)FXは、少ない資金で大きな取引をすることができますが、その分リスクも大きくなります。特に、値動きが激しい時には、大きなレバレッジをかけず、慎重に取引をして下さい。
投資をする際には、それぞれの特徴を理解して、自分に合ったスタイルを探して、少額から始めてみましょう。

