マングローブとは、植物の名前ではありません。熱帯や亜熱帯地域の河口など、汽水域に生えている植物の総称をマングローブと言います。高山植物という名前の植物がないのと同じで、マングローブという植物は存在しません。
世界には100種類以上のマングローブがありますが、国内で見ることができるのは、メヒルギ・オヒルギ・ヤエヤマヒルギ・ヒルギモドキ・ヒルギダマシ・マヤプシキ・ニッパヤシの7種類で、沖縄県と鹿児島県の一部で自生林がみられます。
国内に自生するマングローブの全種類を見ることができるのは、沖縄県の西表島のみです。人工的に植えられたものでは、静岡県の伊豆や浜松でも育っていますし、鉢植えで家で育てることも可能です。
マングローブの特徴

マングローブには、他の植物とは異なる特徴がたくさんありますので、ご紹介します。
マングローブの特徴
- 根っこ(呼吸根)
- 胎生種子植物
- 海水でも枯れない
- 海と森の生態系
根っこ(呼吸根)
マングローブの根っこの形状にはそれぞれ特徴があり、根っこは土の中ではなく、大部分が地上に出ています。
満潮時には、海水の中に隠れていますが、干潮時になると見ることができ、マングローブは根っこで呼吸をしています。これを呼吸根(こきゅうこん)と呼びます。
また、空気中に露出している根っこの表面では、葉と同様に光合成を行うことができます。これは、一般的な根っこには見られない、呼吸根の特徴です。
呼吸根には、4つの種類があります。
膝根(しっこん)
日本で多く生息するマングローブのオヒルギ・メヒルギは、根っこの部分が膝を曲げたような形であることから膝根(しっこん)と呼ばれています。

支柱根(しちゅうこん)
ヤエヤマヒルギの根っこは支柱根(しちゅうこん)といいます。支柱のように真っすぐに伸びた根を、周りからタコ足状に生えた根で支えています。

筍根(じゅんこん)
ヒルギダマシ・マヤプシキの根は、地面から細いタケノコが生えているように見えることから、筍根(じゅんこん)と呼ばれています。
筍根は、土の中で伸びていく一般的な根とは異なり、上に向かって伸びて呼吸をしています。

マヤプシキのマヤは猫、プシキはおへそという意味です。果実が猫のおへそに似ていることからマヤプシキと呼ばれています。和名はハマザクロです。
板根(ばんこん)
サキシマスオウノキは、板根(ばんこん)と呼ばれる根で、板状の根っこです。空気と触れる面積が大きく、昔は板根を切り取り、まな板として使われていました。
大きくて立派な根ですが、土の中に隠れている根はわずか数センチなので、台風などの強風で倒れやすいのが欠点です。

胎生種子

一般的な植物の種子は、母体から落下してから発芽しますが、ヒルギ科の植物は、母体に種子が付いた状態で発芽します。これを胎生種子と言います。
成熟した胎生種子は15~20㎝(ボールペンくらいの長さ)になると、母体から離れて落下します。
上手く落ちると、とがった主根の先が泥に刺さって定着します。満潮時などには流されて、良い場所にたどり着くと、そこで根付くことができます。
海水でも枯れない

植物は基本的に海水をあびると枯れてしまいますが、マングローブは海水と淡水の混じりあった汽水域に生息しています。これは、マングローブが海水が好きだからではなく、吸収した塩分を葉っぱから排出しているからなのです。
マングローブの葉をみると、全体的に緑色ですが、数枚の枯れたような黄色い葉っぱがあります。この黄色い葉っぱは、塩分をため込んでいる葉っぱです。
塩分がたまると木から落下します。この葉っぱには塩分が含まれているので、噛んでみると塩味がします。
マングローブは海水でも育つことができますが、塩分が必要なわけではないので、自宅で水道水で育てることができます。
海と森の生態系
マングローブの周辺には、海の動植物と森の動植物が混在しています。いろいろな種類のエビやカニ、貝などがあり、水鳥たちの憩いの場にもなっています。
シオマネキ

シオマネキは、潮が引くと地表に出てきます。オスは片方だけ大きなハサミを持っているのが特徴です。メスのハサミは左右とも小さいです。
ミナミコメツキガニ

マングローブの中でも、海に近く、細かい砂のある場所を好みます。カニの仲間ですが、横歩きせず、前に進みます。干潮時には、数個体~数百体もの大きな群れを作って移動するので、軍隊ガニとも呼ばれています。
ノコギリガザミ

ガザミはカニの仲間で、マングローブクラブとも言われています。巨大なハサミが特徴で、オスはハサミだけで体重の半分くらいあります。大きなハサミで、魚や貝を砕いて食べます。
郷土料理屋でガザミ料理を食べることができます。
トントンミー

和名はミナミトビハゼです。可愛らしいですが、肉食の魚で、水の中よりも、水から出て活動する方が得意です。
シレナシジミ

シジミの仲間ですが、通常のシジミの数倍ある手のひらサイズのシジミです。食べることができますが、泥抜きが大変なわりに味も微妙なので、ほとんど食べられることはありません。

