無料で貰った不動産にも税金がかかる!贈与税とは?

不動産の購入など、大きな資金を必要とする際に、資金を援助してもらうことがあるかと思います。しかし、タダでもらった財産にも税金がかかるのです。

タダなのに税金を納めるのは、なんだか納得がいなかい気もしますが、損をしないためにも、贈与税について知っておくことが大切です。

贈与税とは?

贈与とは、無償で財産のやり取りをすることを言います。たとえ、夫婦や親子であっても、贈与された財産には贈与税がかかります。

現金だけでなく、不動産や家財、有価証券などすべて贈与税の対象になります。

また、完全な無償でなくても、無利子の借金や、本来の価値よりも著しく低い価格で譲られた財産も、贈与とみなされます。

相続税より負担が大きい

贈与により財産を受け取った人(受贈者)は、1月から12月の1年間に贈与された金額が一定額以上になると、贈与税を納める必要があります。

贈与税には、相続税を補完する役割があり、税率は相続税よりも高くなっています。

贈与税の計算

贈与税は、1年単位で課税されます。これを暦年課税といいます。贈与税には、110万円の基礎控除があり、贈与された金額から差し引くことができます。

複数人から贈与された場合、合計した贈与金額から110万円を引いて計算をします。

現金以外の財産は、原則として相続時の財産評価と同じ方法で金銭に換算して課税されます。不動産の場合は、土地なら路線価や倍率、建物なら固定資産税評価額をベースに計算をします。

1年間に贈与された金額-110万円(基礎控除)=課税価格

課税価格×税率-控除額=贈与税額

贈与税の税率は10~55%で、贈与金額が多いほど高くなる累進税率です。

通常の贈与は、一般税率が適用されますが、親や祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与であれば、特例贈与財産となり、税率が優遇されます(特別税率)

課税価 一般税率(一般贈与財産) 特別税率(特別贈与財産)
税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10%
200万円超~300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
300万円超~400万円以下 20% 25万円 15% 10万円
400万円超~600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
600万円超~1000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1000万円超~1500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
1500万円超~3000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
3000万円超~4500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4500万円超~ 55% 400万円 55% 640万円

生前贈与の注意点

配偶者や子供などに財産を引き継ぐ場合、相続するよりも、生前贈与の方が有利な場合もあります。

たとえば、110万円の基礎控除を10年間活用すると、1100万円が非課税で贈与することができます。これを配偶者や複数の子供にそれぞれ贈与すれば、多くの財産を非課税で贈与できます。

生前贈与なら、贈与する人の意思をしっかり反映でるので、相続時にトラブル防止にもなります。

また、マイホーム資金の援助として、住宅取得等資金贈与の非課税特例や、値上がりしそうな不動産なら相続時精算課税制度など、贈与税の特例や制度の利用で税負担を軽減する方法もあります。

ただし、不動産の贈与は、相続よりも登録免許税が高く、相続にはかからない不動産取得税がかかります。

また、贈与では、小規模宅地等の特例が使えませんので、贈与と相続のどちらがお得かを計算してから行いましょう。

生前贈与のメリット

  • 特定の人に確実に財産を渡せる
  • 相続財産を減らすことができる
  • 相続よりも有利になる場合がある

贈与をするときには口座に振り込むなど、贈与の証拠を残しておきましょう。

贈与について本人が知らなかったり、贈与資金の通帳を贈与人が管理していると、贈与とは認めてもらえないよ。

贈与税の配偶者控除

通常、夫婦間であっても、110万円を超える財産を贈与すると、贈与税がかかります。

しかし、結婚20年以上の夫婦に対する優遇として、配偶者にマイホームまたはマイホームを取得する資金を贈与した場合、贈与金額から2,000万円を差し引くことができます(贈与税の配偶者控除)。

110万円の基礎控除も使えるので、合計2,110万円まで贈与税がかかりません。

また、相続開始前3年以内に行われた場合でも、相続財産とはならないので、相続税対策としても有効です。この非課税枠の範囲内で、持ち分を贈与する方が多いようです。

この特例は、同じ夫婦の間で1度だけしか使えません。また、贈与の際は、登録免許税の税率が相続時よりも高く、不動産取得税もかかります。

一方、相続税には配偶者に1億6,000万円の控除があるので、将来の相続も視野に入れて試算しましょう。適用を受ける際には、税額がゼロになる場合にも、贈与税の申告が必要になります。

住宅取得等資金贈与の非課税特例

住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用すると、直系の親や祖父母からのマイホームなどの購入資金贈与を、最大1,000万円まで非課税にすることができます(省エネ住宅等は1,500万円まで)。

非課税枠は、2021年4月から縮小されますので、特例を利用する際にはタイミングに注意して下さい。

この非課税枠は、贈与される側に対するものなので、祖父と父など、複数の人から贈与を受ける場合でも合計1,000万円となります。

そして、住宅取得等資金贈与の非課税特例は、贈与金額2,500万円まで贈与税がかからずにすむ、相続時精算課税制度との併用ができるので、最大3,500万円を非課税で贈与することが可能です。

また、工事費用が100万円以上で、耐震、省エネ、バリアフリーなど、一定条件を満たしていれば、リフォームでも特例を利用することができます。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与時に最大2,500万円まで贈与税がかからず、将来の相続時に、その贈与分を遺産に加えて、相続税を計算するという制度です。

2,500万円を超えた贈与金額は、一律20%で課税されます。制度を選択した相手との間では、110万円の基礎控除は使えなくなります。

利用できるのは、60歳以上の親・祖父母と20歳以上の子・孫という組み合わせに限定されています。

贈与税負担を相続まで先送りするという仕組みなので、基本的には損得はありませんが、早期の財産移転ができるので、贈与されたお金で住宅ローンを返済したり、賃貸マンションを買って収益を得られるなどのメリットがあります。

相続時精算課税制度を利用するには、税務署に届け出が必要です。一度届け出をすると、その後の取り消しはできません。

暦年課税と相続時精算課税制度

  暦年課税(110万円の基礎控除) 相続時精算課税制度
贈与する人(贈与者) 条件なし 60歳以上の親・祖父母
贈与される人(受贈者) 条件なし 20歳以上の子・孫
非課税枠 毎年110万円まで 合計2,500万円まで
贈与税の申告 110万円を超えたら申告 贈与金額にかかわらず申告
相続税との精算 不要 必要
住宅取得金等資金贈与の非課税特例との併用 可能 可能(親・祖父母の年齢制限なし)

贈与税の申告

贈与された人は、その翌年の2月1日~3月15日までに贈与税の申告により、贈与税を納めます。申告先は、贈与された人の住所を管轄する税務署で、所得税の確定申告とは別の手続きです。

贈与税の申告時の必要書類

贈与税の申告書第一表

暦年課税や贈与税の配偶者控除だけなら、この申告書1枚のみです。

住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用

贈与税の申告書第一表の二(住宅取得資金の非課税の計算明細書)

相続時精算課税制度を利用

贈与税の申告書第二表(相続時精算課税の計算明細書)

相続時精算課税選択届出書(初回のみ)

タイトルとURLをコピーしました