FP(ファイナンシャルプランナー)は、一般的に「お金のホームドクター」といわれています。
お客様の人生設計(ライフプラン)に基づいて、ファイナンシャルプランニング(人生設計をお金の面から、どのように実現するのかアドバイス)を行い、問題があれば改善策を提案して、将来お金で困ることがないようにアドバイスをします。
FP資格には、国家資格であるFP技能士1級~3級、海外でも通用する国際資格のCFPや2級と同じレベルのAFPなどがあります。まずは、自分に合ったFP資格を見つけましょう。
FPになるには
きんざいと日本FP協会
FPになるためには、「きんざい(金融財政事情研究会)」か「日本FP協会」を通じて受験します。
FP技能士を取得するためには、指定試験機関である一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)または、特定非営利活動法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会(日本FP協会)が実施する「ファイナンシャルプランニング技能検定」を受験します。
FP技能士という国家資格ができたのは、2002年4月からです。国家資格ができるまでは、「きんざい」と「日本FP協会」の2つの団体が、それぞれ独自の試験を実施してFPを認定してきました。
国家資格ができてからも、どちらかを受験するというシステムは変わっていません。
FP試験の概要
FP試験は、学科・実技試験ともに6つの分野から出題されます。

この6つの分野は、3級、2級、1級、AFP、CFPすべての試験に共通しています。
タックスプランニングが苦手だと、試験で苦労しますので、まずはタックスプランニングをマスターすることが、カギになります。
タックスプランニングは、税制が変わるたびに試験内容が変わります。3級を受験後に2級を受験したら、税制が変わっていて、答えを間違えるなんていうこともありますので、常にチェックしておきましょう。
FP3級試験
きんざい・日本FP協会の、どちらかの機関を通じて受験します。試験は1月、5月、9月の年3回実施されます。
きんざい | 日本FP協会 |
学科試験(共通) 120分で60問(○✕式・三答択一式) マークシート方式 60点満点(36点以上で合格) |
|
実技試験 50点満点(30点以上で合格) 三答択一式(筆記) 60分で事例形式5題15問 |
実技試験 100点満点(60点以上で合格) 三答択一式(マークシート) 60分で20問 |
学科試験も実技試験も、6割で合格(絶対評価)です。実技試験は、きんざいと日本FP協会で問題内容、問題数が異なります。
学科試験、実技試験を別々に受験することも可能です(どちらを先に受験しても良い)が、同時受験がおすすめです。
FP2級(AFP)試験
きんざい・日本FP協会、どちらかの機関を通じて受験します。試験は1月、5月、9月の年3回実施されます。
きんざい | 日本FP協会 |
学科試験(共通) 120分で60問(○✕式・四答択一式) マークシート方式 60点満点(36点以上で合格) |
|
実技試験 ・50点満点(30点以上で合格) ・記述式(語句選択、○✕含む) ・90分で15問(回答数は50問程度) |
実技試験 ・100点満点(60点以上で合格) ・記述式(語句選択、○✕含む) ・90分で40問(回答数は70問程度) |
学科試験も実技試験も、6割で合格(絶対評価)です。実技試験には、電卓を用いた計算問題もあります。計算問題は、きんざいが簡易なものを含めて15/50、日本FP協会が25/70程度出題されます。
2級も、学科試験、実技試験を別々に受験することが可能です。
AFPは、日本FP協会のAFP認定研修を修了し、2級FP技能検定に合格した後で、日本FP協会に加入すると取得できます。
FP1級(CFP)試験
1級の学科試験はきんざいのみ、CFP(サーティファイドファイナンシャルプランナー)は日本FP協会のみ、実技試験は、きんざい・日本FP協会どちらかの機関を通じて受験します。
きんざい | 日本FP協会 |
1級学科試験(1月・5月・9月の年3回実施) <基礎編> 150分 50問(四答択一式)マークシート <応用編> 150分 事例形式5設例記述式 200点満点(120点以上で合格) |
CFP資格審査試験(6月・11月の年2回実施) 120分 1科目50問(四答択一式)マークシート ※配点は1問2点で100点満点 科目ごとに試験がある(6科目分受験する) 合格ラインは各科目別に異なりますが、6割前後が多い(受験後に公表) |
実技試験(2月・6月・9or10月の年3回実施) 200点満点(120点以上で合格) 口頭試問方式(半日) |
実技試験(9月のみ、年1回実施) 100点満点(60点以上で合格) 筆記試験 / 記述式(2題 120分) |
1級は、学科試験も実技試験も6割で合格(絶対評価)。CFPは6科目
- ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- リスクと保険
- 金融資産運用設計
- 不動産運用設計
- 相続・事業継承設計
- タックスプランニング
すべての科目について、120分の試験を受けなければならないので、2日(1日3科目)に分けて試験が実施されます。6科目同時受験も可能ですが、科目ごとの合格も認められています。
きんざいと日本FP協会の実技試験の違い
きんざいのメリットは、問題数が少ないので、計算問題なども時間をかけて解くことができます。ただし、問題数が少ないので、合否にかかる1問当たりの比重が大きくなります。
日本FP協会は、問題数が多いので、多少難しい問題があっても、合否に影響は少ないです。また、問題数が多いので、比較的素直な問題が多いように思います。
デメリットとしては、問題数が多いので、スピードが大切です。
どちらで合格してもFP技能士なので、自分に合った実技試験を選択しましょう。難易度は、どちらも同じです。
また、日本FP協会の実技試験では、「資産設計提案業務」だけですが、きんざいの場合、3級は「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」のどちらかを選択、2級は「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4つの中から1つを選択します。
ちなみに私は、AFPを取得したかったので、日本FP協会で受験しました。(きんざいで合格しても、AFP認定研修を受けると登録できることを知らなかった)
資格取得後の違い

きんざいと日本FP協会は、資格を取得した後にも大きな違いがあります。
FP技能士
国家資格であるFP技能士には、資格の更新はありません。ただし、資格取得後、法令は時間とともに変わることがありますので、FPの知識を、常に最新の法令に合わせて、アップデートしなければなりません。
きんざいは、「ファイナンシャルプランニング技能士センター」を創設し、FP技能士センターの会員であるFP技能士に対して、最新のFP実務情報と学習の機会を提供しています。
なお、会員登録は任意で、年間費(3,960円~10,560円)が必要です。
AFP・CFP
AFP・CFPは、2年ごとに資格の更新が必要になります。更新は、日本FP協会が指定する単位(AFPは15単位、CFPは30単位)を、更新日までに取得しなければなりません。
この単位は、日本FP協会が指定する研修の受講や、FPとしての執筆、講師活動、勉強会への参加などが対象になります。
AFPは入会金10,000円、年間費12,000円、CFPは新規登録料5,000円、年間費20,000円です。
資格取得までの勉強時間

合格までの勉強時間は個人差がありますので、絶対的な基準はありませんが、目安としてご紹介しますので、参考にしていただければと思います。
インプット | アウトプット | 学習期間 | |
3級 | 24時間(4時間×6科目) | 50時間 | 2~3ヵ月 |
2級・AFP | 72時間(12時間×6科目) | 100時間 | 5~6ヵ月 |
1級・CFP | 108時間(18時間×6科目) | 600時間 | 6ヵ月~3年 |
3級を受験してから2級を受験する場合は、2級の勉強時間は短くなります。FPの勉強で最も大切なのは、演習です。そのため、アウトプットのほうが勉強時間が長くなります。
また、CFPは科目合格が認められているので、1科目ずつ受験して3年でCFPを取得する人もいます。
独学or学校?FPの勉強方法

こちらも個人差がありますので、一概にはいえませんが、FPの勉強をした私の個人的な考えをご紹介します。
まず、3級だけ受かればいいという方は、独学で十分かと思います。独学で勉強するためには、強い意志が必要ですが、費用もテキストと問題集、受験料を合わせても1万円程度に抑えられます。
1人では不安な方、3級を取得後に2級・AFPを受験する予定の方などは、通信講座がおすすめです。
独学よりも費用はかかりますが、効率よく勉強することができます。
また、提案書の作成業務を学びたい方は、AFPの認定研修が必要です。独学ではできませんので、通信講座を利用しましょう。
1級・CFPの勉強をするなら、絶対に通信・通学講座をおすすめします。独学でもある程度は理解できると思いますが、答えを見ても理解できないことも出てきます。
そのため、質問に答えてくれる先生は、必須になります。効率よく勉強するためには、時間をお金で買うと考えて、通信・通学講座を利用しましょう。