暗号資産(仮想通貨)は通貨なの?通貨に必要な3つの条件

暗号資産(仮想通貨)は通貨なの?通貨に必要な3つの条件

暗号資産(仮想通貨)の普及が進んでいますが、各国の政府は、暗号資産(仮想通貨)をどのように考えているのでしょうか。

暗号資産(仮想通貨)と通貨の違い

通貨とは、円やドルなどの通貨には、3つの機能があります。

  • ものの価値の尺度を測る
  • 交換できる
  • 保存できる(壊れたり腐ったりしない)

では、暗号資産(仮想通貨)は通貨なのでしょうか?

2017年4月に改正資金決済法が施行され、この改正で初めて、暗号資産(仮想通貨)の位置づけが加えられました。

改正資金決済法のポイント

暗号資産(仮想通貨)サービスを行うものに、以下の義務を課す。

①登録制の導入

 金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが、国内で暗号資産(仮想通貨)交換サービスを行うことができる。

②利用者への適切な情報提供

 利用者に、取扱い暗号資産(仮想通貨)の名称や仕組み、特性、手数料などの情報提供を義務付ける。

③利用者財産の分別管理

 利用者から預かった金銭・暗号資産(仮想通貨)と、事業者自身の金銭・暗号資産(仮想通貨)を明確に区分して管理することを義務付ける。

④取引時確認の実施

 口座開設などのときに、運転免許証など公的証明書の確認等を、利用者側に求めることを義務付ける。

このように、暗号資産(仮想通貨)にまつわる体制は、改正資金決済法で整えられましたが、日本の通貨は日本円のみと規定されているため、暗号資産(仮想通貨)は通貨とはみなされていません。

しかし、これは法的解釈であって、実際には通貨の3つの機能を備えているので、実質的には通貨であると言えます。

暗号資産(仮想通貨)の税金

暗号資産(仮想通貨)における、現時点での税金のポイントは2つあります。

  • 暗号資産(仮想通貨)の購入時に、消費税はかからない
  • 暗号資産(仮想通貨)の売買で得られる利益は雑所得扱いになる

雑所得の場合、給与所得などの他の所得の金額と合計し、その金額から課税される総合課税になります。

税率は、所得が増すほど税率が上がり、最高税率は55%(所得税の上限45%+住民税10%)です。

所得税率
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

一方、株やFXで得た利益は、総合課税ではなく、分離課税扱いになり、税率は一律20.315%です。

投資種類別の課税方法
 課税方式消費税(購入時)
分離かからない
FX分離かからない
暗号資産(仮想通貨)総合かからない
不動産総合かかる
総合かかる

法定通貨にもリスクがある

法定通貨のリスクとして、「国家と紐づく法定通貨は、国家の暴走に対応できない」とされています。日本ではイメージがわかないかもしれませんが、国家権力は常に暴走する可能性があるのです。

この暴走のひとつが、金融緩和です。金融緩和とは、通貨の発行を増やすことで、通貨の価値を下げることでもあります。

日本で暮らす以上は、日本円が必要になりますが、その価値は政府の考え方次第で変わるというのは、法定通貨特有のリスクとも言えます。

中国の資産管理

中国では王朝が変わろうと、今の共産党体制でなくなっても「中華」が世界の支配的な立場になるという理念のもと、「国民が生き残らないといけない、王朝が変わるたびに無一文になってはいけない」という考えが根強くあります。

中国は、自国の経済に不信感を持つ人が多いため、資産防衛の背景から、ビットコインへの投資が進んでいました。

しかし、資金流出を恐れた政府の規制が入り、2017年10月31日をもって、中国はビットコインの取引、出金等が全面的にできなくなりました。

当局は、暗号資産(仮想通貨)への取り締まりを強化し、前月の9月にはICO(企業などがオリジナルの通貨を発行し、出資者を募ること)も全面的に禁止しています。

この規制により、人民元から暗号資産(仮想通貨)に流れていたお金が戻ってきたため、1ドル=6.54元で取引されていた人民元は、6.51元まで急伸したともいわれています。

あらゆる国家の目的は、権力の維持と拡大です。そのためにはお金が必要で、徴税対象の自国民に、暗号資産(仮想通貨)など、国家として管理しづらい通貨を使って欲しくないのです。

日本人も、自国(通貨)を疑い、自国通貨以外の資産を持って備えるという、世界の人々の考えや行動に学ぶことがあるのかもしれません。

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